• テキストサイズ

氷が溶けるまで。【中原中也】

第6章 DEAD APPLE


----そして現在に戻る


「、絶対に俺のそばにいろ。判ったな?」

『うん。』

澁澤のことについては少しずつ判ってきたことがある。
霧が発生すること、自身の異能力と戦わなくてはならないとのこと。
それに以外はまだ判らない。

何が目的なのか、、、。


「太宰が澁澤に寝返ったらしい。」

『え、、、?如何いうこと、、、。』

「さぁな。然し、困ったな。霧が出てきやがった、、、。」

気が付けば辺りは霧に囲まれていた。

ドーン!っと突然大きな音が鳴る。

「っ!」

中也が私に覆い被さる形で抱き締められる。

霧と砂埃で視界が悪い。


「大丈夫か?」

『うん、大丈夫よ。』

「チッ。もう嗅ぎつけやがったな。」

殺気を感じる。

数メートル先に中也に似た影が立っていた。

そして中也から驚きの一言が出た。

「異能が使えねぇ。」


中也の異能が使えなければ、どうやって戦えというのだ。

なにか方法があるはず、、、、、。


考えている間にもどんどん近づいてくる影。

「とにかく逃げるぞ!」

私の手を掴み走り出す中也。


「一先ず撒いたか、、、、?」

『多分、、、。今彼奴の気配は感じない。』

路地に逃げ込み、今は廃墟となった倉庫に身を隠している。

『中也、その手、、、。』

「ん?ぁあ、大したことねぇよ。」

手袋をしていたから気付かなかったが、中也の手から血が出ていた。

恐らく私を庇った際に怪我したのだろう。

中也の手を握り、怪我を治そうとするもできない。

私も異能が使えない、、、。

異能が使えないので、簡単に応急処置をする。

「ありがとな、。」

『私を庇って怪我したんでしょ、、、?ごめんなさい。』

「好きな女守るのにこれくれぇの怪我大したことねぇよ。」

そっと触れるだけのキスをされる。

『だけど怪我してほしくないよ。』

「男の勲章だ、格好善いじゃねぇか。」

ニカッと歯を見せて笑う中也に釣られて私も頬を緩ませた。



然し、最悪の事態が発生した。



/ 259ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp