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氷が溶けるまで。【中原中也】

第6章 DEAD APPLE


ゴキッ。と音が部屋に響く


太宰「いきなり殴るなって酷いなぁ。私だって人間なのだよ?」

「殺されなかっただけ感謝しろ。」

『中也、、、。』


「白麒麟の野郎は俺が何とかする、手前はそこで死ぬまで寝てろ。行くぞ、。」


中也に手を引かれて部屋から出る。


『中也、痛い、、、。』

「悪ぃ。」

手を離す中也。
手首には手形が残っている、それくらい強く握られていた。


『中也、大丈夫?』

「何がだ。」

『判らないけど、なんだか辛そうだから。』

「大丈夫だ、最近忙しくて疲れてるだけかもな。」

そう微笑み乍ら、私の頭を撫でる中也。


でもその顔は無理に作っている気がした。
少しずつではあるが、人の感情というものが理解できるようになった。


"中也は正しい男"
以前太宰さんが云っていた言葉だ。
そう、中也はとても仲間想いで、優しい。
ヨコハマを大切にしている。

その大切なもの達が今、壊されていっている。
中也は幹部候補に上がるほどの実力者。
仲間が戦っているのに、戦場にはまだ立つことができない。
きっと辛いのだろう、自分が何もできないことに。


中也の手をそっと掴む。

『大丈夫。』

何故この言葉が出てきたのかは判らない。
自然に出てきた言葉だった。
織田作がよく私に云う言葉。


「ありがとな、。」
先程よりかは穏やかになった中也の顔を見て安心した。


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早くなんとかしたいのに、できないもどかしさ。
今も俺の仲間達は戦場で戦っている。

俺も応戦したいが、敵の正体が判るまでは戦場に行くなと首領からの命令の為、動けない。


糞太宰は呑気なことを云いやがるわ、とベタベタしやがるわで余計に俺の苛立ちは募る一方だ。

そんな俺を見てか心配そうに声をかける。

少し疲れただけと伝え、頭を撫でるが納得していない顔の。


するとに手を掴まれたので、彼女を見る。

宝石のような透き通った瞳が俺を捉える。

"大丈夫。"

その言葉でほんの少し安堵した。

理由は判らないが、少し心に余裕ができた気がした。



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