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氷が溶けるまで。【中原中也】

第5章 愛しい君。


芥川はが"敦くん"と下の名で呼ばれていた彼に嫉妬していたのだ。

自身は5年ほどの付き合いなのに、未だに苗字呼びだ。


親しげに話す2人に嫉妬していた。

芥川は恋を知らない、だがにだけは特別な感情があることは自負していた。


思わず云ってしまった。
下の名で呼んで欲しいと。

急に恥ずかしくなる。

芥川「す、すまない。今のは、、、、。」

『"龍くん"でいいかな?』

芥川「え、、、、?」

『龍之介くんだと呼びづらくて、、、。ダメかな?龍くんで。』

芥川「は、はい。問題ない。」


芥川はとても嬉しかった、少しと距離が近づけた気がしたからだ。

樋口「あっ、いたーーー!!!せんぱーい!さーん!」


『あっ、樋口ちゃん!行こっ、龍くん!』

に手を引かれ樋口の元へ向かう。

の小さな手は少しひんやりとしているのに、何故が熱く感じた。


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「はぁーーー、やっと終わったぜ。」

溜まりに溜まっていた報告書をやっと片付けた中也。

灰皿には山積みになったタバコの吸い殻。

報告書を首領に届けたらに逢いに行こう、そろそろ任務から戻って来るはずだ。


首領の執務室は向かう途中、話し声が聞こえた。

愛しい人の声だ。


樋口「さんご馳走様でした!」

『いえいえ、またいこうね。』

樋口「はい!ねっ、先輩っ!!」

芥川「ぁあ。」

『じゃあまたね、樋口ちゃん、"龍くん"』


耳を疑う中也。

彼奴、今芥川のこと、、、"龍くん"って呼んだかぁ!?

今までは"芥川くん"と呼んでいたのに、何故だ。

沸々と心の底で何かが膨れ上がる。

"嫉妬"だ。

俺はに声をかけずに首領の元へ向かった。




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