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氷が溶けるまで。【中原中也】

第18章 俺のモノ


気が付けば、拠点を飛び出していていた。

『織田作、、、私中也に嫌われちゃったかもしれない。』

目の前にはS.ODAと彫られた墓石。

何も答えてくれない、墓石に話しかけていた。

あんなに怖い中也の顔初めて見た。

事故だった、そんなつもりなかったのに。
突然のことで身体が動かなかった。

中也の軽蔑した目が脳裏に焼きついていた。

嫌われたかもしれない、、、、。


龍くんが倒れてきた時にすぐに身体を離せば善かった。

中也の言葉を遮って理由を話せば善かった。

そんな後悔があとから出てくる。

中也に謝らずに、莫迦って云って飛び出してきてしまった。

謝りたいけど、やっぱり怖かった。


ポツポツと雨が降ってきたが気にしなかった。

雨は次第に強くなり、辺りは一瞬にして霧に包まれた。

織田作のお墓は大きな木の下にあったので、雨宿りには丁度善かった。


『中也、、、。』 


左手の薬指の指輪が目に入った途端、中也の笑った顔が頭に浮かんだ。


謝らなくては、、、。
誤解だと中也に伝えなければ。

そう思い、立ち上がった時だ、、、、

「っ!!!」


突然聞こえた愛しい人の声

『中也、、、?』

目の前にはずぶ濡れで息を切らした中也がいた。

「っ、悪かった!!芥川から聞いた。俺の勘違いで手前を傷つけた。」

『中也、、、ごめんなさい!』

目の前の中也に飛びついた。

中也は少し身体をよろつかせたが、しっかりと抱き止めてくれた。

「おいっ!濡れるだろ!!」

『いいの、そんなの。』

濡れることよりも中也を抱き締めたかった。

中也は私の背中に優しく手を回し乍ら話し始めた。

「、俺は手前が男と話してるだけでも嫉妬する。それくれぇ手前に惚れてる。」

『うん。』

「正直結婚してからもすげぇ嫉妬すると思う。」

『うん。』

「だが手前ことを嫌いになることは絶対にない。だから俺が嫉妬で暴走してる時はぶん殴ってくれ。」

『うん。』

「、愛してる。」

『私も愛してる。』

中也からの少し身体を離すとやっと目が合った。

さっきと違う、いつもの優しい眼差しだ。

自然と距離は近づき、唇が重なり合った。





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