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氷が溶けるまで。【中原中也】

第15章 守りたい


「ーっ!!!!」


中也の顔が頭から離れない。

あんな辛い顔をさせてしまったのだ、、、。

大切な人をこれ以上傷つけたくない。

あの夢のように中也がいなくなってしまうなんて絶対嫌だ。

中也が生きていてくれれば、それだけで善い。

たとえ中也が嘘の愛を私にくれていたとしても。


フョードル「お別れは済みましたか?」

『はい。だから誰も傷つけないで。』

フョードル「ええ、勿論です。さぁ行きましょう。」

私の手を取り歩き出すフョードルに着いていくしかなかった。



---1時間前

『貴方の目的はなんですか?どうして私を、、、』

フョードル「勘違いしないで下さい、僕は貴女を守るためにしたまでです。」

『守る、、、?』

フョードル「ええ、貴女は本当の異能力を知らない。否、知らされていないのです。」

『本当の異能力、、、?』

彼の言葉が理解出来なかった、本当の異能力とは、、、?

フョードル「貴女の本当の異能力は"氷の再生"全ての生を蘇らせる力です。」

『嘘、、、今までそんな力、、、』

フョードル「事実です、残念ながらその力はあまりにも強すぎて沢山の人間が貴女を狙った。きっと貴女の今の父親もでしょう。」

『首領は、、そんなこと!!』

フョードル「では何故、貴女の本当の異能力を黙っていたのでしょう?」

『それは、、、』

フョードル「貴女を利用していることを知られるのを恐れたのでしょう。それに貴女の恋人も、、、、」

『中也、、、、も?』

フョードル「ええ、彼も知っていましたからね。貴女と彼は8年前から知り合いでしたから。」

『そんなこと、、、一言も。』


フョードル「彼は首領の右腕のようなものです。だから恋人のフリをしろと云われたらするでしょうね、、、?」


中也や首領は私を騙していたの、、、?

全てが判らなくなった。

自然と涙が溢れ出した。


フョードル「可哀想な、。僕がいるからもう大丈夫ですよ、僕が貴女を守りますから。」


『最後にお別れだけさせてください。』

中也のことが好きだ。

たとえ今までの中也の言葉が嘘であっても、、、

嫌いになんてなれなかった。

首領もだ、身寄りのない私を育ててくれたのだから。


私が出来る恩返しは守ることだけ、、、。



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