第14章 髪飾り
そんなある日のこと。
「、"海"見に行かねぇか?」
『うん、行きたい。』
まさか中也から海に行かないかと云われるなんて思わなかった。
初めての海
皆んなが話してたような楽しい気持ちにはならないけど、波の音が凄く心地善かった。
「綺麗だな。」
中也がポツリと呟いた。
これが"綺麗"と云うことなんだ。
中也の視線は私に向いていることに気づいた。
きっと私に話しかけていると思った。
『うん、綺麗だね。』
暫く2人で海を眺めていた。
中也の顔が少し赤かったことは気付いていたが、あまり気に留めなかった。
実はこの時中也は、に対して綺麗だと云っていたのであった。
「そろそろ陽が沈むタイミングだな」
午前中に任務があったので、海に来れたのは夕方だった。
そろそろ日が沈む頃だ。
さっきまで明るかったのに、数分で暗くなった。
キラキラと光っていた海は陽が沈むと、とても暗くそして静かになった。
暗く、広い海は何処か懐かしく感じた。
昔こんな所にいた気がするからだ。
そんなことを考えていると、中也に手を引かれた。
「か、帰るぞ!暗くなっちまったし!!」
なにかに慌てていたようだった。
そのまま中也にバイクに乗せられて帰った。
私にとっての初めての海は中也とだった。
とても大切な思い出だ。