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氷が溶けるまで。【中原中也】

第14章 髪飾り


「こんなもんか」

『うん、ありがとう。』

中也にヘルメットを被らせてもらう。

バイクで出かけるのは久しぶりだ。

昔はよくバイクで中也にあちこち連れて行ってもらっていた。


「ちゃーんと捕まっとけよ?」

中也のお腹に手を回し、ぎゅっとした。

小柄だけど、意外とがっしりしている中也の背中。

私の手がお腹に回ったことを確認するとエンジンをかけ、バイクは走り出した。

車と違い、スピード感を感じることができる。
それになんだが景色もよく見える気がする。

昔は景色を見てもなんとも思わなかったのに、今は綺麗だと思えるようになった。

中也が私の白黒の世界に色をつけてくれたのだ。


「着いたぜ、姫様。」


『綺麗、、、。』

日差しもあり、海は宝石のようにキラキラと輝いていた。

泳いでいる人はいないが、私たちのように数組のカップルが海を見にきていた。

「此処へ来るのは6年ぶりか?」

『うん、そうだね。』

此処へは昔、中也に連れてきてもらったのだ。

----6年前

織田作から海の話を聞いたのだ。
夏には子供達と海水浴に行っていたらしい。

子供達も楽しそうに話していた。

"海ってすげぇでかいんだぜ?"

"キラキラしてて綺麗なの!"

"みんなでスイカ割りしたんだ!"

みんな笑顔で話していた。

写真では見たことはあるが、実際に見てみたくなった。


この頃は中也も色々とあったようだ。

数日顔を見ない日もあった。
少し元気がない日も多かった気がする。




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