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氷が溶けるまで。【中原中也】

第14章 髪飾り


遡ること7年前、、、、

ポートマフィアに来て間もなかった頃

中也は毎日私に逢いに、姐様の執務室へ顔を出しに来てくれていた。

そんなある日

お風呂はいつも姐様と入っていたのだが、その日は姐様は出張でいなかった。

初めて1人でお風呂に入った。
姐様の真似をして、無事に入ることができた。

お風呂から上がり、寝る準備をしようとしていた時だった。

「?いるか?」

ノック音と共に中也の声がした。

『はい。』

「よぉ、おい髪の毛濡れてんじゃねぇか!」

『今日は姐様はいないので。』

「あー、そういやそうだったな。こっちこい、乾かしてやる。」

『でも上司にそんなこと、、、』

「チッ、いいからこい!」

手を引っ張られ、中也の足の間に座る形になる。

「よしっ、こんなもんでいいだろ!」

中也は手際良くの髪を乾かし、ブラッシングまでする。

『ありがとうございます。"中原さん"』

「違ぇだろ、呼び方。」

『でも、、、上司ですし。』

「同い年だから問題ない、それに敬語もやめろ。」

『でも、、、』

「俺の頼みだ。」

『頼み、、、?』

「ぁあ、手前には名前で呼んで欲しいし、敬語なしで話して欲しいんだよ。」

少し顔を赤らめる中也。

は少し不思議な気持ちになった。

命令はされることはあっても、頼み事をされたのは初めてだったのだ。


『判った、中也。』



の言葉に中也はとても喜んだ。

「おお!その調子だ!!」

にっこりと微笑み、の頭を撫でる中也。

中也に頭を撫でられることはこの頃から好きだった。

「手前はロングが善く似合うな!」

『そうかな、、、?』

「ああ、似合ってる。それにすげぇ綺麗だ。」

その時の中也の顔は凄く優しい顔だった。

理由は判らないが、その顔がもっと見たくて私は自然と髪を伸ばすようになった。

これが私が髪を切らなかった理由。






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