第12章 特別な日
『凄く綺麗、、、』
は目をキラキラさせながら水槽の中を覗いていた。
「そうだな、気持ちよさそうに泳いでんな」
俺も水槽の中を覗く。
でっかい水槽の中で泳ぐ魚たち。
此奴らは本物の海で悠々と泳ぐ自由を知らねぇんだよな。
そんなことを呑気に考えていた。
『でも外の世界を知らないんだよね、、、』
驚いた、も同じことを考えていたのだ。
「敵もいない安全な世界で愛する者といられたら幸せじゃねぇか?元々外の世界を知らねぇわけだし」
『そうだね、私も中也といられたら幸せだもの。』
ポツリと呟く。
俺たちはいつ死んでもおかしくない世界で生きている。
闇の人間だ。
だからここにいる魚たちの様に安全な保証はないのだ。
「俺もだ、手前といられるだけで幸せだ。」
の手を引き抱き締める。
『中也っ!外だよ、、、』
外にいるせいか恥ずかしがる。
「ふっ、ここには俺たちしかいないぜ?」
『えっ、、、?確かに全然人がいない、、、。』
「今日は貸切だ。だから思いっきりイチャつけるぜ?」
そしての唇を塞いだ。
そう、此処はつい先日敵組織から奪ったのだ。
公にはされていないが、ここでは密輸が繰り返されていたのだ。
首領の命により敵組織を解体、そしてうちの所有物になったのだ。
来週にはここは水族館をモチーフとしたバーを運営することになっている。
首領に頼み、今日だけ貸切にさせてもらったのだ。