• テキストサイズ

氷が溶けるまで。【中原中也】

第12章 特別な日


『凄く綺麗、、、』

は目をキラキラさせながら水槽の中を覗いていた。

「そうだな、気持ちよさそうに泳いでんな」

俺も水槽の中を覗く。
でっかい水槽の中で泳ぐ魚たち。

此奴らは本物の海で悠々と泳ぐ自由を知らねぇんだよな。

そんなことを呑気に考えていた。

『でも外の世界を知らないんだよね、、、』

驚いた、も同じことを考えていたのだ。

「敵もいない安全な世界で愛する者といられたら幸せじゃねぇか?元々外の世界を知らねぇわけだし」

『そうだね、私も中也といられたら幸せだもの。』

ポツリと呟く。


俺たちはいつ死んでもおかしくない世界で生きている。
闇の人間だ。
だからここにいる魚たちの様に安全な保証はないのだ。

「俺もだ、手前といられるだけで幸せだ。」

の手を引き抱き締める。

『中也っ!外だよ、、、』

外にいるせいか恥ずかしがる。

「ふっ、ここには俺たちしかいないぜ?」

『えっ、、、?確かに全然人がいない、、、。』

「今日は貸切だ。だから思いっきりイチャつけるぜ?」

そしての唇を塞いだ。


そう、此処はつい先日敵組織から奪ったのだ。


公にはされていないが、ここでは密輸が繰り返されていたのだ。
首領の命により敵組織を解体、そしてうちの所有物になったのだ。

来週にはここは水族館をモチーフとしたバーを運営することになっている。


首領に頼み、今日だけ貸切にさせてもらったのだ。





/ 259ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp