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つよがり いいわけ かわいい子【HQ】

第4章 つよがり いいわけ あやうい子



今日日本に飛ぶ。そう連絡が来てから十数時間。
次に来たのは着いたの文字。

同じくらいの時間に何故か黒尾から着信が入る。

「会見の後多分夏乃に話聞きたがってマスコミが殺到するから2日くらいホテル避難。後2時間後に迎えにいくから2日泊まれる準備しておいて。着いたら下の駐車場で連絡する。」

戸惑う私をよそによろしく〜なんて明るい声で電話を切る黒尾。2時間はまだ猶予があるほうかと先に必要な洋服類の準備。そして軽くシャワーを浴びると念の為に軽くメイクをして黒尾の連絡を待てば少し早めの時間に連絡が来る。

ちょっと早いけど平気?

気遣いのできる男に大丈夫だと返事をすれば数分後に部屋のチャイムが鳴る。出てみれば私を見て首を傾げるスーツの男。

「…何か支障あった?」
「……向かうホテル、帝国っていうの忘れてたわ。」

前言撤回。気遣いして。
10分時間を貰い洋服やら何やらの準備を少しだけ変更。お化粧も念入りに施すと、明らかに質量の増した鞄と一緒に黒尾の車に乗った。

「ん、良い女。さっきのも悪くねえけどさ、せっかく良いところに泊まるんならそのくらいしたいよな。」

もっと早めにホテルの名前を伝えてくれればもう少しなんとかできたんだけど。そんな文句は飲み込んで景色を眺めていれば黒尾が先に口を開く。

「会見、見るだろ。」
「……見る。」

見るつもりでいる。
でも怖いのだ。
先日マスコミに囲まれた際に感じた刺すような好奇の視線が。それが夜久に向くのが怖い。

「大丈夫。悪いことにはなんねえよ。ただ今回は記事になっちまったから会見するだけ。やましいことなんて何もないんだから気にすんなよ。」

ぽん、と肩に置かれた手は温かく、それだけで安心する。いつのまにか強く握っていた手のひらを緩めると、不器用ながらも頬を緩めたのだった。

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