第3章 つよがり いいわけ かよわい子
今でもギリギリの仕事量のみんなに仕事を振り分け、自身も必死に仕事に打ち込む。
毎日午前様の帰宅と変わらない出勤時間に疲労はどんどん溜まっていく。だからと言って休みに休んでしまえば終わらないスケジュールに毎日ため息を吐きながらの休日出勤。
日課にしていた夜久との金曜の電話もするタイミングをなくしているため、声を聞いたのは遥か彼方な気がする。
だからと言って夜久も今季は忙しく我儘を言っていられない。
4年に1度のスポーツの祭典。五輪の日本代表に今回も選ばれた夜久は日本代表メンバーとの練習、ロシアのチームでの練習と大忙し。そんなタイミングで弱音なんて吐いて心配かけられない。
連日の疲れや寝不足ですっかり弱った胃でも食べられそうなものをコンビニで買って帰宅。
ストッキングを履く手間すら惜しくて、最近はスリングバッグのパンプスを履いているが、踵と足首の間を支える細いベルトのおかげで擦れて靴擦れになっている。
洗濯物もなかなか回せないから、たまにファブリーズで誤魔化すことも。
流石に中のインナーや下着は毎日変えたいので、仕事中に中抜けして某プチプラ衣料量販店でほぼ同じ型の上下ばら売りの下着を同色大量購入。乾いた順に適当に着回していく。
食事は冷凍ものかコンビニ。洗い物をしなくていいように紙皿と割り箸生活。
お風呂も浸かると寝落ちしてしまうのでシャワー生活に切り替えた。
そんな生活を繰り返せば心が荒むに決まっている。
「会いたい」
そう呟いたことすら現実か夢かわからないまま、私は夢の世界へと旅立った。