第2章 つよがり いいわけ いとしい子
ベッドに移動しマットレスに体を預けると、夜久は私の体を痛いほどに抱きしめる。触れた体温にひとつ涙を溢すと、流れた雫を舌が掬う。
「夏乃、好き」
鼻先に
「好きだよ。」
目尻に
「好き、愛してる。」
唇に
柔らかく降る唇が愛の言葉を囁く
柔らかなルームウェアの裾から入り込む指が私の肌を撫でる。思わず声を漏らすと前をたくし上げられ、可愛い下着が夜久の目に入る。
「やっぱりこれ選んでよかった。夏乃可愛い。」
買い物の際に見つけた下着屋さんで夜久が選んだ下着。普段、機能性で選んでいる飾り気のない下着とは違う、ショーツのサイドにサテンのリボンのついた、可愛らしいレースの下着を見せつけていることに思わず顔を赤く染める。
胸元をクロスする飾りのリボンを弾かれて体を揺らせば、胸を包む下着ごと中心に寄せられた細やかな胸に夜久が鼻先を埋めた。
「俺専用。」
呟かれた声に胸元を覗き込むと胸に顔を埋めたまま夜久がちゅ、と胸を吸う。
「この下着もこの体も俺のもん。」
吸われた胸元に赤い華。
綺麗についたそれに嬉しそうに笑う。
頬を緩ませたその表情にどうしようもない愛しさが込み上げる。
「衛輔、好き」
込み上げた愛しさが唇から溢れ、夜久の耳へと届く。私の読んだ名前に笑みがさらに深まればちゅ、と私の唇を奪う。
「名前、もっと呼んで。夏乃に呼ばれたい。」
熱を持つ視線から目を離せない。奪われた唇から紡がれる名前に、じわり、頬が熱を持つ。
「衛輔」
「ん、何?」
「衛輔、好き」
「俺も夏乃すきだぜ。」
「いっちゃやだ」
溢れた本音にふさがれた唇。
「俺も帰りたくない」
「だから」
「いつでも夏乃 を思い出せるように愛させて。」
夜久の言葉に頷けば消える電気。
背中に回る手が下着のホックを外し、上衣を脱がせていく。
お互いを求め合うのに、言葉はもういらなかった。