第2章 つよがり いいわけ いとしい子
泣いて乱れて眠る。
そして2人で日の出と共に起きて家を出る準備を始めた。
悲しい涙は朝のシャワーで流した。
気合いを入れた化粧でこれ以上涙をこぼさないように武装をし、夜久の前に立つ。
「今日も可愛い」
白のTシャツにグレーのカーゴパンツ、ベースボールハットといいラフな格好に胸をときめかせる。
夜久の服装に合わせたグレーのパンツスーツと白のブラウスは私が今日頑張るための気合いの現れで、それを夜久に指摘されれば思わず頬を染めた。
仕事の時間より少し早めに家を出て駅前で朝ごはん。そのまま駅で別れ電車に乗るつもりで背中を向けると空いた手が握られ引き寄せられた。
「夏乃 愛してる」
他の誰にも聞こえない、私だけに当てた言葉を耳元で囁いた夜久は得意げな笑みで私を見つめている。
ずるくて格好良い、男前な私の彼氏。
そんな貴方の頬に手を寄せ引き寄せるとルージュの乗った唇を強めに重ねる。
驚き見開かれた猫のような可愛らしい瞳に、笑みを向けながら離れると私は改札に向かった。
さよならもいってらっしゃいも言ってやらない。
だから、早く帰ってきてね。衛輔。
end