第2章 つよがり いいわけ いとしい子
「はい、水。」
情事が終わりいつの間にかベッドから出で行ったらしい夜久が、水のペットボトルを手渡してくる。それを受け取ると乾いた喉を潤すように一気に水を煽った。
「お腹すいた。」
久々の運動の後の軽い疲労にため息を吐きながら再びベッドに横になれば、ベッドの縁に腰掛けこちらを向く夜久の腰に腕を回し筋肉の付いた逞しい背中に頬を寄せる。
「…それ、甘えてんの。………それとも誘ってる?」
上から視線を送る夜久に頬を染めるが腕はそのまま。照れた顔を隠すように背中にぐりぐりと額を擦り付ければ堪えるように笑う声と震える体。
「ほんっ……と可愛い。」
「……夜久は可愛くなくなった。」
ひでえ、なんて笑い混じりに返されるけれど、赤くなった頬はさらに染まる。腰に回した手を解かれ柔く握る夜久の手のひらは、男らしいけれどしっかり手入れのされた綺麗な手。
でも好きだろ?
強い視線と自信のある声で問いかけられたらもう逃げられない。小さく頷きながら、蚊の鳴くような声ですきと呟けば、その言葉を待っていたかのように言葉を紡いだ唇に再び夜久の唇が重なった。