【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)
第2章 出会い
side 桜
「ことはー、沙良、今日来るの?」
梅宮がことはにそう聞いた。
沙良?誰だそれ。
「学校が長引くそうよ。ここから星女って、電車でもかなり時間かかるじゃない?往復2時間くらいかな?通学だけでも疲れちゃうわよね。」
梅宮が真剣な顔で、ことはを見つめた。
「…あいつさ、昔…何かあったのかな。」
「……私も少し気になってたの。すぐに謝るし、自信のない喋り方で…
今日も何となくだけど…学校ってだけじゃないのかな、って思ったのよ。」
「………スマホ貸して。」
「は?」
「沙良の連絡先入ってるだろ?今から誘う。」
「何言ってんの?嫌よ。」
「じゃあ俺が誘う。連絡先教えて。」
「っ…もっとダメでしょ。勝手にそんな。」
「おい梅宮、誰なんだその子。」
柊も知らない女か…
「んー?一昨日ポトスで会ったんだ。遠じいの孫で、引っ越してきたらしい。」
「遠藤のじいさんの孫か。どんな感じだ。やっぱ岩みたいな顔か?」
「それが全然似てないのよ。凄く綺麗な女の子。
けど幼くも見えるから私も梅も最初中学生かと思っちゃって。」
「へぇ…」
「ことはお願い、連絡して。せっかく皆集まってるんだからさぁ、沙良の歓迎会やろうぜぃ。」
「だーかーら、沙良ちゃんにも予定があるでしょ、って言ってんの。もう、一昨日1回断られてるのよ?」
「そこを何とか。お願いっ…」
梅宮は手を合わせ、必死に食い下がっている。
「ことはちゃん…コイツはこうなったら、ことはちゃんがうん、と言うまでひかない奴だ…」
「私が誰よりもわかってるわ…
メッセージ送るだけよ?いいわね?」
「うぇーい。」
そう言うと梅宮はカウンターから後ろを振り返った。
「おーいお前らぁ、写真撮るから集まってくれ。
なるべくギュッとなれよ、ギュッと。」
「あ、はいっ。写真っすね。」
「うわぁ、むさ苦しいー。」
「何で俺までっ…」
「あぁ⁉何か文句あんのか…?」
ったく…誰なんだよその沙良って女は…