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【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)

第3章 遭遇



side 蓬莱

じっと天井を見つめて涙を流す遠藤沙良の体にいくつか跡をつけ、写真を撮らせて梅宮にメッセージを送ると、仲間に声をかけた。

「あとは…ここの住所ってどうやったらわかる?アプリか?」


アプリを起動させた瞬間


バサッ…


誰かが入ってくるのがわかった。


「っ…か…梶…!?コイツ風鈴の梶だっ…」

バキっ……ドゴっ…

あっという間に入り口を見張っていたこちらの二人が殴り飛ばされた。

「これは…想定外だね。」


風鈴の2年、梶。
2年ながら柊の右腕を担う男。

前回もいたな。勿論覚えている。
何故ここでコイツが…


「梶、久しぶりだな。何の用だ。」

こちらに気づくと俺の足元に目をやり、ゾッとするような殺気を放った。
ヘッドフォンと飴を投げ捨て、ゆらりとこちらに向かってくる。


「ソイツに何した…?」

下手に刺激しない方がいい。
計画が潰れる。

「何も?ちょっとからかって遊んだだけ。
手なんて出してないからね。」

「てめぇ…殺す…」

どんどん近づいてくる梶。
耳に入っていないな。さて、どうする?

こちらの残り2人は確実にやられる。
俺は負けないが無傷は流石に無理かな。

負傷しながら梅宮に勝つのは…


「…はいはい、わかったよ。退散する。
それ以上こっち来たら…知らないよ?」

遠藤沙良の首に手をかけると、梶はピタリと止まった。


「今日は退くよ。けど次は…覚えててね、梶。」

すれ違いざまにそっと耳打ちした。

「あ…早く梅宮に連絡した方がいいよ。沙良ちゃんの姿見て、今頃ショックで泣いてるかもしれないから。」

ははっ、と笑った俺に殴りかかってきた腕を掴んだ。

「沙良ちゃんの写真…全世界にばら撒かれたい?」

「………てめぇ」



『梶…君……?』

遠藤沙良がこちらに気づき、声を出した。

「沙良っ…大丈夫か?」

急いで制服のジャケットを脱ぎ、彼女にかける梶。

「…じゃあな。」


「っ…いいんですか?蓬莱さん。」

「いいのいいの。ははっ、面白い物見れたじゃん。収穫ありだよ。」


計画は潰れたが、足取りは軽かった。

遠藤沙良は恐らく囮どころの価値じゃない。



風鈴の核だ。



口角を上げ、俺はその場を立ち去った。
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