第16章 話の整理
「道場って、あの人は何してるんだ」
とぼんじゅうるも呟く。庶民的にも、ちょっと不思議なことのようだ。
「もしかしたら、道場で人集めして情報を集めているかもしれませんね」
とおんりーがドズルを庇うように言うが、ぼんじゅうるはすぐには頷かなかった。
「けどあの人、魔法使いよ? なんで道場なんて開いたんだ……」
「え、魔法使いなんですか?」
驚いた私は思わずそう聞いてしまう。魔法使いと道場は、あまりにもイメージからかけ離れているように思ったからだ。
「そうなのよ。ちょっと変な人なの」
とぼんじゅうるは言うが、特段嫌っている様子は顔には出ていない。勇者の仲間の一人なんだろうなぁと私は思った。
「ドズルさんがいないと、エンドラ討伐大変ですよ」
「そうなんだよねぇ」
とおんりーとぼんじゅうるが話しているところ、勇者だけでなく、仲間も必要不可欠ということなんだろう。
「じゃあ行きます? 僕はいつでも行けますよ」
とおらふが言って背中に不思議な形をした長い杖を背負った。長さは大巫女の杖と同じくらいだ。
「おらふくん、ドズルさんの道場どこにあるのか知ってるの?」
とおんりーが聞くとおらふは考える素振りした。
「うーん、場所までは聞いてないんやけど……アレイ、ドズルさんの場所まで案内してくれる?」
すると、おらふの隣でふわふわと飛び回っていた青い妖精が、高い鈴の音のような鳴き声でキラキラと鳴いた。すごい。妖精の声なんて初めて聞いた。
「案内してくれるって! 行こう、みんな!」
おらふは明るく笑い掛けた。彼は、ぼんじゅうるやおんりーとは違った魅力がある気がした。不思議と明るい気持ちになれた気がしたから。
「はい!」
私も笑顔を返して席を立った。