第11章 前進
[十亀条Side]
ちゃんが銭湯に戻ってきた
常連さんたちもすごく心配していたから
中には涙を流している人もいたけどとにかくみんなが喜んでいた
ちゃんは泣きそうな顔をして耐えていたけど
またあの太陽のような笑顔を見られて嬉しかった
つくづく思うのはあの時家に訪ねて正解だったこと
まぁじいちゃんにこっぴどく叱られたのは仕方ないんだけど
訪ねることがなかったら彼女の過去も知ることができなかった
本当なら思い出したくないことなのに打ち明けてくれて信頼して話してくれた
それに今回の件でちゃんと俺との間に変化していることは確かなのかもしれない
なんというかちゃんが俺を意識してくれているような気がしていて
これが気の所為じゃなきゃいいなぁ
俺の勝手な思い込みかもしれないけどそう願わずにはいられなかった