第11章 前進
[今日も暑いねぇ〜]
[そうだね…!暑いよねぇ…]
私がTシャツの上側をパタパタさせながら話す
あの後のことだけど
おじいちゃんの怒りを止めるのに大変だった
何言っても言う事聞かないし
なんとか収まって説明したら理解してくれたんだけど
は嫁にやらんしか言わなくなっていて
いい加減うるさかったので無言の圧力で終わらせた
私は条くんに謝ったけど気にしてないようだった
どっちが大人なんだと思ってしまったけどそこは秘密にしておこう
[ん〜?どぉしたの?ちゃん?]
いつの間にか考え込んでいたらしい
条くんが私の顔を覗きこんでいた
[わ…!ご…ごめん…]
全然近いのに気づかなくて驚いてしまった
最近条くんの距離も前より近くなったような気がする
前よりもぐっと迫っていることは確かだった
(上手く表現できないけどまるで……)
(考えすぎだよね……)
[そぉ…?ならいいんだけど]
[うん…!大丈夫だから…!]
そう思い私は思考を切り替えた
[お風呂入るんでしょ?]
[ほらほら]
[ちょ…ちゃん〜押さないでよぉ]
私は条くんの背中を押しながら鶴の湯に入っていった