第10章 吐露Ⅱ
[十亀条Side]
まさか涙が出るなんて
(嘘ぉ)
俺自身もだし何よりちゃんも驚いていた
無理もない
すぐに止まるかと思っていたが全然止まる気配もないそれどころがどんどん溢れてくるのだ
(…あれぇ………)
(止まらない……)
どうして彼女ばかりそんな目に遭わなきゃいけないのか理解が追いつかない
それと同時に後悔や怒り様々なものが混じっていた
俺がいれば違かったんだろうか
そんなひどいことをやったのか
許せない
だが今更そう思っても仕方ない
これは俺の自己満足でしかないしもう過ぎてしまったことだから
慰めにならないと分かっている
(………………でもぉ)
言葉をかけたくてたまらなかったのだ
今思うとなんでこんなことを言ったのかはわからないが
辛かったね
なんて正直言うともう少し何かあったはずなのだがそこまで気が回らなかったのは幼さゆえということにしておいてほしい
俺の言葉で過去を癒すのは難しい
けれどそれでも
寄り添えればって
この気持ちだけは嘘偽りがなかった
ちゃんも何を思ったかはわからないけど涙が零れ始めてやがて嗚咽が出始める
ただでさえ止まらなかったのが釣られてしまいそこからはただ二人で泣きあっていたのだった