第2章 出会いⅠ
[十亀条Side]
じいちゃんが汗だくになりながら何を言うかと思えば
[はぁはぁ………悪いなぁ条 遅くなって]
[銭湯行くかぁ…]
お祭りの準備の話が予想以上に長引いたらしく急いで帰ってきたらしい
確かに約束していてけどぉ別に俺には何の問題もなく
[ん〜でも今日はもう閉まるんじゃないの明日休みだしぃ明日でもいいんじゃあ…]
[いやぁそういう訳にもいかんだろ…お前と約束してたしなぁ]
(律儀だなぁじいちゃん)
[わかったよぉ]
俺は明日でもいいとは思っていたけどせっかく言ってくれたんだし行かないわけにもいかないだろう
タオルを持ち話しながら歩いていると
[ま、間に合わなかった………]
[ほらぁだから言ったでしょ〜間に合わないって]
いつも行ってるところは案の定今日はもう閉まっていていた
だから言ったのに
[じゃあ、鶴の湯さんに行くか]
[鶴の湯ぅ?行ったことないけどぉ]
[あそこ昔からやってるんだよ]
家から近いけど実は鶴の湯には行ったことがなかった
昔からあるとは聞いたことがあるけどどんな所なんだろう
(眠いなぁ……)
大きな口が開き途端にあくびが出てしまう
俺としてはこのまま家で寝てしまいたかった
[そろそろ着くぞ 条]
我慢して少し歩いていたら鶴の湯の看板が見えた。
明かりも灯っていたらからまだ空いているようには見えたけどこっちのほうも閉まる時間のようだ
じいちゃんが慌てて気づき中に入ると話し声が聞こえる
交渉しているのかな
[ほら条 こっちだ]
どうやら銭湯に入らせてもらえるようだ
じいちゃんがそう言うと恐る恐る俺は中に入った。