第9章 吐露Ⅰ
[十亀条Side]
(まさかなぁ……)
こんなことになるなんて思わなかった
今俺はじいちゃんと一緒に家に向かっている
銭湯は今はそんなにお客さんがいないから藤川さんとばあちゃんに任せて来たみたいだ
(どうしてなんだろう…?)
(ちゃんと会わせるって…)
どうしてなのか意味がわからない
俺に会わせてもいいのだろうか
不安に思いつつ気づくも家の前に着いてしまった
[なぁ坊主]
[なに?じいちゃん]
突然振り向いて話しかけられた
歩いている最中は全く喋らなくて
いや喋るような雰囲気でもなかった
ピリピリと張り詰めた空気で
それにさっきと違って顔つきが少し違う
覚悟を決めたような面だった
[のことだが…]
[まぁ会えるかはわからん]
[だからあんまり期待はしないでくれ]
[お前もうすうす勘づいてはいるんだろうが…]
[その……だな…………]
じいちゃんが言葉を濁している
珍しい
あんなにはっきり言うひとなのに
(もしかしてぇ…)
今回のことと結びつくことに違いない
ちゃんが過去に何かあったということが一瞬で理解してしまった