第9章 吐露Ⅰ
[十亀条Side]
(………あ……)
(もう着いちゃったかぁ……)
そうこう考えている間にもう到着していたようだ
俺がいつものように中に入ると受付にじいちゃんがいたので声をかける
[あっじいちゃん〜]
[お!亀の坊主か!]
じいちゃんも気づいて声をかけてくれた
新聞を見ていたようで珍しいメガネ姿になっていたが
周りを見てみるとやっぱりちゃんは今日もいなさそうに見える
(そうだよね〜……)
残念だけど仕方ない
正直言うと顔だけでも見たかったけど
その気持ちを押し殺す
[よかったら〜これぇ食べてぇ]
そういってりんごが入った袋を渡すと
[お、なんだ美味そうだな…!]
[ありがとよ!いつもわりぃな]
[いやいや〜俺もお世話になってるし]
リンゴと言うか果物が好きなのか前以上に喜んでくれたようで
日頃のお礼にとは常々おもっていたことたが俺も参加できてほっとしていた。
(よかったぁ……)
じいちゃんの嬉しそうな顔もみれたし充分だ
[じゃあ帰るね〜]
そう言って出口に向かう
すると聞き覚えのある声が聞こえ始める
[おい、坊主]
[ん〜?]
どうしたんだろと思い振り返る
言うべきかどうか悩んでいた顔つきで、腹を括ったのか
言おうと決意したようだった
[あ〜お前さえよけりゃなんだが]
[うち寄ってけや]
まさかの申し出だった