第46章 戸惑い
[それじゃあ送ってくるわね♡]
[よろしくね椿]
[それじゃさんまた!]
[…うん!またね]
(……ふぅ)
早くてもう帰る時間になってしまった
せっかくお出かけしたにも関わらず気が晴れない
ショピングモールやら何やら回った記憶はあるのに朧げで今までのことが霧にかかったみたい
今日一日何をしていたんだろ 私
[それじゃあ行きましょ♪]
[………うん]
靴の音がこつこつと響き渡る
椿ちゃんの可愛いヒールが奏でる音
[[……………………………]]
静寂が空間に染み渡る
こんなに会話をしないのなんて初めてだろう
でも会話する気分ではなかった
何を話すのも思いつかない
普段だったら好きな化粧品だとか可愛い服の事なのか話すのに
[………ね]
[ん?]
どうしたんだろう
椿ちゃんの方に振り向くと
[十亀とはどう…なったの…?]
[え]
[あ……え……と]
思いがけない問いに機械仕掛けのようと口がパクパクしてしまう
(……気になるよね)
確かにこんな重たいどんよりとした雰囲気をしたら当然なのかもしれない
ずっと聞いてみたかったのだろう
私に誘った時から きっと
[……別れた……かな]
(だって)
別れたと言っていいだろう
あんな風に突っぱねたのだから