第44章 ※悲哀
[ふぅー…]
頭が少しだけどクリアになった
当の本人は何処にいるのかとキョロキョロと見渡していると
案外すぐに近くにいたようで
[梶さん…!]
[お風呂ありがとうございました…!]
[ああ…………っぁ]
[…?梶さ]
あれ また顔が赤い
しかも目を見開いて顔全体が茹でダコのようになっている
また何かしたのだろうか 私は
[…こっちにこい…!]
[え…!?は、はい…?]
(な、何?)
急に手を掴まれ引っ張られた先は
(わ、わぁ…)
[飲み物持ってくるから待ってろ]
[え…あ…ちょっ……]
行ってしまった
連れられたのはいいもののここは梶さんの部屋のようだ
いつも身につけているヘッドフォンが無造作にラックの上に置かれテーブルの上には数枚のCDがある
(…?これって)
どこかのロックバンドなのだろうか
近寄り物珍しそうに眺めていると
[…興味あんのか?]
[きゃ……!]
後ろから誰が声をかけてきたかとか思えば
[か、梶さん…!]
何というか毎度のことながら心臓がびっくりしてしまう
慣れればいいのだろうか中々上手くいかない
罰が悪そうに
[お、驚かせるつもりはなかった]
[ほら 飲め]
[……!あ、ありがとう]
カカオの甘い香りが鼻に広がる
渡されたマグカップの中身はココアのようだ
お言葉に甘えて火傷しないようにフーフーと息を吹きかけながら飲むと
[おい…しい]