第44章 ※悲哀
[あ…の梶さ…]
[待ってろ 風呂沸かす]
[ほらタオル]
[え…そんな…]
[いいからここで待ってろ]
念押しのように指を立て忙しそうに部屋を出ていく
パタパタと足音を立てて
[…………]
受け取ったタオルで濡れていた髪を丁寧に拭く
(まさか家に来ることになるなんて)
矢継ぎ早に言われて分からず言われるがまま来てしまったのはいいものの連れてこられるなんて思わなかった
(でも)
頭が少し冷えてきたからだけど
このまま家に帰ったらおばあちゃん達は凄い心配して根掘り葉掘り聞いてきそうだし返って逆効果な気がしてしまって
申し訳ないけどこれはこれでよかったのかもしれない
(まぁ梶さんに甘えることになってしまったけど)
ふぅと息を吐きながら髪を拭き終える
他はどうしたものか
せめてブレーカーは脱ぐべきだろうと服に手をかけると
[…おい]
[…ひ…!は、はい!]
いつの間にか私の後ろに立っていて
全然近づいてくる気配がしなかったら変な声が出てしまった
[風呂 シャワー浴びてたら沸きそうだから入れ]
[案内する]