第43章 ※現実
[ん!……んう…!]
[…………っ]
そう言われた瞬間唇を重ねられる
角度を変えられ啄まれるも脳裏によぎったのは
(やだ)
どんな形であれこんな"彼"を受け入れたくなかった
思いっきり彼の唇を噛むと口の中に鉄の味が広がる
[っ……いたぁ]
[……そんなに牙立てたって無駄だよぉ]
私から離れると唇から血が滴り落ちている
それを美味そうに舌でなめ取っていた
[………嫌]
[へぇ…あんなによがってたのに今更嫌なんだぁ]
[っ………]
図星な所があるとはいえ言わなくていいのに
真っ赤にのぼせたかのように顔色が変わる
訂正しようとするも
[…そ、それは違……]
[いっ………た]
急に手首を掴まれて上に押し付けられる
これでは抵抗するどころか逃げられもしない
(…怖い)
この人は本当に条くんなのだろうか
あんなに柔和な笑みを浮かべていた人にはとても思えない
サングラス越しからでわかるくらい冷ややかな瞳で
全てを蔑んでいるかのように見通してくる
[……嘘つき]
[………ここはどうだろうねぇ]
[ちょ……!]
スリットのスカートを履いてきたのは軽率だった
話だけでもと思って楽な格好をしてきてしまったから
[きゃ……!!]
スカートの中に手を入れられる
するすると太ももに手を滑られ
[や、やめて……!]
[……ほら]
[体は正直みたいだよぉ]