第42章 戦慄
[ど、どうして………]
[時間が空いたから来たんだよ]
(…それにしても)
彼に会うのは久しぶりだ
最近顔を見ないから心配してたのだけど元気そうと言うわけでもない
頬には生々しい喧嘩の跡を隠すようにガーゼが張られている
[け、怪我を……!]
[…大したことねぇ 気にすんな]
[大丈夫だ]
(………梶さん)
暖かいぬくもりが頭に広がる
梶さんがそう言うならそうなんだろう
ほっと胸を撫で下ろす
[……よかった…]
[…そういやお前どっか行くのか?]
[え……]
勘が鋭い 流石というべきだろうか
唐突に聞かれたものだからぎくっと背筋がこわばる
[………えーと…]
[す、少し人に会いに…]
思わず口角が引きつる 私上手く笑えているだろうか
それも分からないけどバレるわけには行かない
[どこらへんだ]
[……そ…の]
獅子頭連の副頭取にこれから会ってきますだなんて
(ま、まずい)
ただでさえ敵対関係だと言うのに会ったら一触即発に違いない
揉め事なんて起きてしまったら
(想像したくない………!)
怪我をしているのにそんな事まで起きたら申し訳が立たないし胃が痛い
[チ、チカクデスヨ]
[なんで片言なんだ]
[ナンノコトデスカ]
[は?]
ごめんなさい 梶さん
今私はあまりにも動揺していて変なことしか言えません
そんな彼は呆れたのかはぁとため息をつきながら
[………ったく]
[遠慮してんじゃあねぇ]
[送ってやる]