第41章 ※激情Ⅰ
[十亀条Side]
[…………すぅ……]
(ん…)
(……寝てくれたみたいだ)
寝息が聞こえたのを確認し起こさないようにゆっくりと起き上がる
(ちゃん……)
すっと頬を撫でる 可愛らしい寝顔だ
彼女の隣にいると心地がいいものだから甘えてしまい結局欲に任せて乱暴にしてしまった感が否めないが
(…ごめんね)
丁子とあの話の後正直言うと何も覚えておらず頭に残るのは
弱いやつはいらない という言葉だけ
目的地なんてものはわからない
ただ静かに雨に打たれひたひたとゆっくり足を運んでいた
(ん……)
(………はは)
(……"あの時"と一緒だぁ)
気付いたら鶴の湯まで進んでいたらしい
午後は休業と書かれてある ここにはいないようだ
(懐かしいなぁ)
確か中学生の時も怪我して何故か来たんだっけな俺
その時と一緒で
(ちゃんに会いたい)
その想いに突き動かされて行動していたようだ
(いや)
もう会わないほうがいい
巻き込んでしまうと間違いなく彼女にも被害が及ぶ
これからの獅子頭連にはきっと
(………叶うなら)
(一目だけでも見たい)
これで会うのは"最後"になるかもしれないから