第38章 番外編③ 贈り物
[ふふ…よかったぁ…]
[俺がつけてあげるねぇ]
[え?]
つけてあげるってまさか私の髪にってことなのだろうか
[い…いいよ…!自分でつけるし…!]
彼にしてもらうのは申し訳ないと思ったし何より
[いいからぁいいからぁ]
[あ、髪につけてるのとるねぇ]
[え……え……]
小っ恥ずかしくて仕方ない
けれど彼はそんなの意に介さずサラリと髪を撫でバレッタをつけようとする
指先の温度が伝わってきてその温かさが頬に伝播してしまいそうだ
[うん…似合うねぇ]
[ちゃんにぴったりだぁ]
[……ありがとう]
好きな人からそんな言葉をかけられると舞い上がってしまう
きっと私はこの贈り物を生涯大事に持っていることに違いない
[………]
[ちゃん]
[うん?]
[…本当にありがとぉ 大事に着るよぉ]
(………条くん)
[………うん]
[そんな…泣かないでよぉちゃん]
目元の雫を拭ってもらうも中々静まりそうにない
今頃になって涙が出るなんておかしなものだけどそれほど嬉しくてたまらないのだ 私は
[ご…ごめん…]
[その…嬉しくて……]
[……いいんだよぉ…]
[俺もだからぁ]
そう言い額がコツンとぶつかる
彼の体温はやっぱり暖かい
ほっとしてしまったからか涙なんか引っ込んでしまっていた
不思議だと思っているうちにぱちくりと目が合ってしまい
[ふふ………]
[ふふ]
何故だろう
ここは笑うところではないのに自然と声が出てしまう
でも心地が良くてずっと浸っていたい
私達はしばらく笑い合っていた