第38章 番外編③ 贈り物
[あ…条くん……!]
[ごめんねぇ待ったぁ?]
いそいそと来てくれたところを見ると走ってきてくれたのだろうか
ゆっくりで大丈夫と伝えたはずだけれど
[ううん…そんなことないよ!]
おこがましいかもしれないけど私のために走ってきてくれたのかと思うと
嬉しい
ニヤけてしまって変な顔になりそうだ
いや既にもうなっているのだろう
彼の想いを自覚してから我慢できなくて困る
[でぇ…用ってぇ?]
いけないいけない 一番忘れちゃいけない大事なことだ
(よし…)
こういう時こそ勢いが大事だろう
[その…これ!]
[……んぅ?これってぇ………?]
[そ……の…プレゼントなの]
と息巻いてみたのはいいものの恥ずかしくて目線は泳ぐし頰はリンゴのように紅くなっている
[…開けていい?]
[うん…]
シュルとリボンが解く音がする
今更ながら本当に大丈夫なのだろうかと心臓が高なって仕方がない
心配性なのは前からだけど好きな人の前だから余計なのだろうか
(……うう…)
ハラハラしながらその過程を見守るも
[……これってぇ]
[作務衣?]
とうとう開けてしまった
[そ……の……]
[似合うかと…………思ったから]
顔を合わせづらいことこの上ないが実際そうなのだ
いきなり服なんてプレゼントするなんて思いつきとは言え
重かったんじゃないだろうかと
初めてにしてはやりすぎだったのかもって
(……それに……)
ちらっと彼の方を見るも開けたあとから何も言わないままだ
もしかして気に食わなかったのかな
心がどんよりとしてきてしまう
(現実を受け入れなきゃ…かな…)
(………よし)
[………その]
[条…く…]
何を言われても仕方ない
覚悟を決め声をかけると
[………着てもいい?]
[え…?]
思いがけぬ返答が返ってきた