第38章 番外編③ 贈り物
[それ…]
[うんお父さんのよぉ]
[あの子これ着るの好きだったわよね]
[少し…出してみたくなっちゃって]
慈しむかのようにゆっくりと畳んでいる
紺や緑 様々な色が鮮やかに目に映る
(懐かしい)
お父さんがよく着てた作務衣 着やすくて好きなんだって笑顔浮かべってたっけ
明るくて嫌なことがあっても笑みを絶やさない人だった
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[お父さん大好き!]
[ははっありがとう]
[あらあらお父さん妬いちゃうな〜]
[お母さんも大好きだよ!]
[ふふありがと]
[[私達も大好きだよ]]
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沢山もらったお父さん お母さんたちの愛
今でも私の心に息づいている
"あの人達"から色々と嫌なこと言われて参っていたはずなのに
"見捨てること"もできたはずだ
けどそんな事一度たりとも言わなかった
むしろ
[ごめんなさいね…]
[なんか思い出しちゃったかしら?]
おばあちゃんの一言でハッとする
思い出してないわけではないのだが実物を見てしまうと否が応でも蘇ってくる
楽しかった記憶も
辛い記憶も
[え!あー……]
[お父さん達のこと久々に思い出したから感慨深くってさ…]
[……それもそうよねぇ]
[絵里子さんも隆志もあなたのこととても大切に思っていたわ]
[おばあちゃん…]
目に悲しい影がよぎる
おばあちゃんがこんな表情になるのは久々に見た気がする
けれど一瞬で
[やぁね!湿っぽくなっちゃったわ♪]
[畳んだらすぐ行くわ♪]
[ごはんの準備しなきゃねー♪]