第37章 祝福
[梶さんですか…?会ってはいますが…]
この頃会ったとしても忙しいのか挨拶程度しかしてなくてすれ違いだ
もう少し話ができたらなぁなんて淡い期待はしているものの
ボウフウリンとしてやることが沢山あるだろうし邪魔をするわけにはいかないという気持ちがせめぎ合ってて
(我儘なのかもなぁ…)
もっと話したいと思うなんて
彼の都合を考えたら浅ましい考えなのかもしれないけど
[そうか…梶の奴口悪いだろ]
[え…あ…その……]
[まぁ…不器用だけど根は良い奴だから]
[これからも仲良くしてもらえると助かる]
[ふふ…もちろんです…!]
よろしくだなんてこちらの方なのに
なんだか梶さんのお兄さん的存在なのか微笑ましい
自然に笑ってしまっていた
[………これはやばいな]
私が返事した途端咄嗟に手で顔を隠される
頰が赤いような
(…あれ?)
どうしたのかと顔を覗こうとすると
[………?あの…]
[あらあらぁ♪こんな狭いところで何のお話?]
[[わっ!]]
誰が間に割り入ってきたかと思えば椿ちゃんだった
全然気づかなかった
[つ、椿ちゃん]
[ほらほらあっちに行きましょ♪柊も食べてないでしょ?]
[早く早く♪]
グイグイと手を引っ張られ早く戻ってこいと言わんばかりだ
こうまで言われてしまっては動かぬわけには行かない
[わ、わかったよ…椿ちゃん]
[はいはい…わかったよ]
[おー!お前ら早くこっち来いよ!]
[さん早く〜!]
[………!は〜い!]
暖かい
この輪の中にずっといたい
私は心が許せる人達と出会えた事に感謝しながら足を運んでいった