第36章 ※嫉妬Ⅱ
[…………わっ]
ベッドの方に移動され下ろされる
そこまでは丁寧な手つきだったのだが彼が隣に座った途端
[ちょ……!じ、条く………!]
[ちゃん…]
ギシッと音を立てながらじりじりと近づいてくる
本当に私にしか眼中がないのか熱を込めた目を放って
後ろに逃げるけどもう遅い彼の唇が間近に迫って来ているのだから
(ま、まずい…)
(………いいのかな いいのかな)
(いいのかな)
どうしよう わかんない
このままだと流されてしまう
咄嗟に
[あ……の!]
[…!?ちゃん?]
突然声をかけたものだから彼がきょとんとした顔で見つめてくる
[……その………]
[………本当に…いいの…?]
[私…なんかで…]
散々恥ずかしいことをしておいて何を言うのかって感じなのだろうけど私にとっては重要な話だった
中学の時に裸をカメラで撮れてしまって未遂ではあるもののいわば
゛傷物 ゛
のようなものだと
私が勝手にそう思っているだけなのかもしれない
けれど心の片隅にはずっと燻っているのだから
[…っ………ちゃん…]
[俺ぇ…また先走ったねぇ…]
[………ごめん]
少し距離を取られ大きな背中を縮こませながら謝られる
違う
彼のせいではないのに
[ち、違うの……条くんが悪いわけじゃなくて……]
[その……]
[嫌…じゃないのかな……って]
思わず手に力がこもる
雰囲気を壊しておいて顔が合わせづらいのは山々だけど彼の意思を確認しておきたかった
お互い好きだと認識しているしそれは本当だけれど
(意地悪してるみたい…)
そのつもりは更々ないのだがこれではお預けを食らっているみたいなものなのかもしれない
(怖い)
背中に冷や汗が流れる
どう返答するのかドギマギしていると
[嫌じゃないよ]
[俺はぁ君の全部が好きなんだからぁ]