第36章 ※嫉妬Ⅱ
[条…く…]
[ちゃんが辛い思いをしてきたのは知ってる]
[だからぁ…だよね…]
[………………ごめん]
何でもお見通しみたい 敵わないなほんとに
私はただ謝ることしかできない
幾ら時が経とうともあの経験が無くなるということは決してないのだから
[…謝らないでよぉちゃん]
[俺も考えなしに迫っちゃったしぃ…確認もとらずにさ]
[……ねぇこれは嫌?]
そう言うとゆっくりと近づき彼が優しく私の手を取り柔らかく触れてくる
いつものことながら暖かい 彼の体温が伝わってくる
(ああ)
[嫌じゃない…]
素直な気持ちを言葉にする
条くんに触られると安心するしキスをされたり抱きしめられるたび体が高揚とし喜んでいるのが理解できる
けれど
[私条くんに触られて嫌じゃないの…]
[ただ…]
[……その先が……]
(嫌だ)
あの時の恐怖が 絶望が蘇るんじゃないかって
条くんはそんな事をする人じゃ決してない ありえない
そう断言できる
だが万が一ぶり返して彼を拒絶してしまうんじゃないかって不安でたまらない
そんな風になりたい訳ではないのに
(私…)
怖い 怖いと怯えても何も変わらないというのに
それほど私を縛り付けているらしい
忘れたくても忘れられないあの残酷な記憶
(…………どうすれば)
彼がこうも言葉を掛けてくれるというのに私は信じようとも変わろうともしてしない
条くんのことが好きだと言ったのに
(彼のために…)
だとすると何をしたら 私は
考えがまとまらずにいると
[……………じゃあ]
[どこまでいいか触ってみるぅ?]