第35章 幸福
そう言い走りながら私に抱きついてくる
[えい!お姉ちゃん〜!]
[もう…ふふ…]
胸にうずくまるものだから子供でもあやすかのように頭をなでる
丁子くんは相変わらずといっていいのか分からないけど条くんと付き合いだしてからこうやって甘えるのを遠慮しなくなったような気がする
まぁ告白の現場にいた時は有馬さん達と同じく悪いと思っていたらしく凹んでいたから気にしないでと言ったら一瞬で元気になったけど
流石は丁子くん 立ち直りが早い
[兎耳山…うらやましいな…変わってく…]
[あ、有馬…!しっー!しっー!]
[……もぉちょーじはすぐ甘えるんだから]
[えへへ…!お姉ちゃん好きー!]
[…ふふありがとう]
(……幸せだな)
正直言うとこんなに幸福でいいんだろうかと不安になりそうなほど日々が満たされている
皆といると笑顔が溢れていて楽しくてこれは夢なんじゃないかって
私にとっては分不相応じゃないかって未だに思うけどまぎれもなく現実なのだ
[じゃあ晩御飯食べよ?有馬さん達もよかったら…]
きっと言うと思って今日おばあちゃんと一緒多目にご飯を作っておいたのだ
もし余ったら藤川さん達にもやるだろうし最近ほとんど条くんも私の家でご飯を食べることが多くなったからまぁ残ることはないはず
[お やりーぃ食べようぜ鹿沼]
[うん…!お言葉に甘えようかな]
よかった
断わられるかなと思っていたから
この様子だと大丈夫だったようだ
[じゃあ決まりかな…条くん手伝ってくれる?]
[もちろんだよぉいこぉちゃん]
[あ!俺も手伝うー!]
[おい!兎耳山…!分かったから走るなって!]
[もぉ…怪我したばっかなのに無理しちゃ駄目だよ!]
[大丈夫だよ!沼ちゃん!へチャラだよ!]
(ふふ)
いつもの光景に口元が緩みながら家に向かうのだった