第35章 幸福
[[えっ!?]]
[はっ??]
おばあちゃんの方に一斉に顔が向く
今なんて?
(け)
[結婚!??]
大きな声が家中に響き渡る
これはご近所さんにも聞こえてるな
いち早くおじいちゃんが言ってくれたけどやっぱり聞き間違いじゃなかったみたい
(………うわぁ……)
それにしてもおじいちゃんすごく目が泳いでいるし挙動不審そのものださっきの比じゃないくらいのヤバさだよこれ
[な、何、何言ってんだ!ばあさん!]
[お…!俺はそんなつもりじゃ……!]
(だ、だよね…)
言葉の綾だろうしおじいちゃんもただ付き合うのは認めるって言っただけなんだろうから
おばあちゃんも人が悪いというかなんというか
[あらぁ…どうみてもそんな感じの発言だけど…]
[ねぇ ♪]
と私に向けてウィンクされたけど
(ええ…!)
冗談なのだろうけどいかんせんドギマギしてしまう
突然言われてもなんて言えばいいんだろう
(う、うーん……)
それに条くんはまだ若いし付き合ったばかりなのに結婚の話なんて
救いを求めてるわけではないのだがちらりと隣の彼の方を見つめてしまうとぱちりと目が合う
条くんもどうしたらいいか分からないように見えるというか
言っていいものかと迷っているような
(………まぁそうだよね)
私だって急に言われて答えるのは難しい
これは冗談だよね〜と軽く言うのが正解だよね
うん そうだ
[もう〜…おばあちゃんった…]
そう言おうとしていた時だった
[………えーとぉ……]
[俺はぁ…そのことも考えてるよぉ]
[結婚…したいかなぁって]
[そのちゃん…と]