第35章 幸福

［まぁまぁ…落ち着きましょ…あな…］

とおばあちゃんが宥めるも


［落ち着いていられるかぁ！ばあさん！が……］

［どこぞの馬の骨にとられるんだぞ！！］

［俺の目が黒いうちは許さんっ！！］


［あらあら…］



［……おじいちゃん………］

［…じ…じいちゃん…］


（う、うわ〜〜………）


流石に顔がひきつってしまう
隣りにいる条くんも唖然としているみたいだ

馬の骨って言ったよね？今というか絶対言ったよね
とんだ言葉がでてたよ本当に

収拾つくどころか逆に悪化してしまったのが否めない
それに血相を変えてこんなに興奮するおじいちゃん久々に見るのだが

（中々のご立腹……みたい…）

（うーん……）

私の幸せを願ってくるのなんとなく想像はつくけどこんなに荒れ狂うほど反対されるなんて正直言うと想定外だった
まぁ怒るだろうなとは感じてはいたけどこんなに酷いとは思わなかったし
きっと私が過去色々な目に遭ったから心配しているのかもしれない
裏切られないか　とか憶測でしかないが


（……………けど）


私が選んだ人だからこそ信じて欲しくて

認めて欲しい


（……………行動しないと）


まずは落ち着いて話を聞いてもらわないと何も始まらない
すぅと息を吐き呼びかけると


［おじいちゃ……］




［…………久志さん…］



おばあちゃんがおじいちゃんの名前を呼びかけるとヒヤッとした空気が周りに広がる
ニコニコとしているけど顔は全然笑っていない


（久々に見たけど怖い…）


間違いない
おばあちゃんがキレている証拠だ



［……ば、ばあさん……］


聞いた瞬間おじいちゃんもまずいと感じたのか体が止まり恐る恐るおばあちゃんのほうに振りむくと


［気持ちはわかるけど二人の話聞いてみたいわ］



［ね］





［……………はい］