第32章 吐露Ⅵ
[椿ちゃんSide]
[梅………]
(………本当)
あなたって優しいわ
無理やり聞かないところもあーしの気持ちを慮ってだろう
そういう所も素敵 好き
だからなのかポツリと本音が出てしまう
[……ふふ…ありがとう]
[確かに…あーし好きよ あの子のこと]
[でも応援するって決めたの]
確かにあの子のことは好き 大好き
この気持ちに偽りはない
でもを応援すると決めたのだ
紛れもない自分の意志で
確かに複雑な思いはある
愛しさと切なさで潰れてしまいそう
(…………)
の恋が実ってくれたらこんなに嬉しいことはないのだから
[………ん そうか]
[ええ]
梅の気遣いはありがたかった
お陰で不思議と心が穏やかになったのだから
流石ね 梅
[……さぁ!はやく行きましょ!梅]
[柊待たせちゃってるもの♪]
[…そうだな]
(………………応援してる)
幸せになってね
あなたなら大丈夫だから
と思っていたのも束の間
(……う〜ん……)
でも気がかりなことが一つ
(梶…もしかしてのこと好きなのかしら…)
(………聞くのも野暮よね)
どう見てもあの感じはに対して好意を持っている
あんなふうに顔を夕陽のように赤らめて私達にもあまり見せない稀有な表情で
(……ライバルというか…どうするのかしら)
(には好きな人いるのに)
(…というかそもそも知ってるの?それ…?)
気づけば考えがポコポコと出てしまう
でも梶が彼女を好きかという証拠もないし聞いてもいないし本当のところはわからないのだから
(……うん)
(なんとかなるわよね…?ね!)
思考を切り替えるしかない
新たな懸念にモヤモヤしながら梅の後ろについてくしかなかった