第32章 吐露Ⅵ
[椿ちゃんSide]
[や、やだ…梅急にどうしたのよ…]
(嫌な予感がするわね…)
冗談だと思いたいけどまっすぐこちらに目を捉えてきている
(ああ)
逃げられないわ
彼のこういったところは何回も見ているからわかる
人と向き合う時真剣だもの梅は
あの時と同じ 私を救ってくれた王子様
彼がいなかったらあーしは
(…………)
[…梅宮先行ってるぞ]
[おう 悪いな]
[ちょ………]
柊なんて気を遣って先に行っちゃったしこの様子だと問い詰めるとまではいかないかもしれないけど長引きそう
梅のことだから心配してそう言ってきてるだけでもあるのよね
すると
[俺の気のせい…でなかったらなんだが]
[椿野 さっきの子好きなんだろ?]
(う)
心臓に矢でも刺さったかのような痛み
いきなり核心をついてきた
本当に勘がいいってこういうこと言うのよね流石と言わざるを得ない
けれどあーしは咄嗟に
[え…その…彼女は友達よ!]
[も…もう〜面白い冗談言わないでよ〜梅]
嘘をついてしまった
適当に愛想笑いをし目線を泳がして
(や、やってしまったわ……)
完璧に不審者すぎるじゃない こんなの
理解しているのに言いたくない
(梅かっこよすぎるから惚れて欲しくない)
(誰にも彼女を渡したくない)
たくさんありすぎて途方がない
また嫉妬
嫉妬ばかり
嫉妬のオンパレード
(……………ほんと)
呆れちゃうわあーし
こんな大切な人にも嫉妬しちゃうなんて
返事をもらえるか分からず胸に手を当てドキドキしていると
[……そうか]
[まぁ言いたくなったら言ってくれ]
[俺は椿野が元気になってくれれば嬉しいからさ]