第4章 成長
[………ほ]
[本当ですが!ありがとうございます!]
[え…!わ…!]
橘さんが手を取り嬉しそうに握ってくれる
大丈夫だということだろう
(よ、よかった…)
体の力が一気にふっと抜ける
さっきまで息がしづらかったのに息がしやすくなった
それほど肩の力が入っていたのかもしれない
[あ〜…その…]
[えーと……]
ホッとしていたの束の間橘さんが言い淀む
(え…な、なんだろう……)
何か言い足りないことがあったのだろうかと思い戦々恐々としていると
[橘さんでなくて…]
[よかったらですけどことはって呼んでください…!]
[あと敬語もなくて大丈夫だから…!]
(え?)
まさかの名前呼び+敬語なしという私にとっては中々のハードルなのだが
(…名前呼びと敬語…かぁ……)
(…私のペースで頑張ろう…!)
[その…少し人見知りするのですぐにはよべないかもですけど………]
[こ…ことはさんよろしくお願いしますね]
できない事はないのだろうが時間がいる
どうしても人見知りというのが邪魔してしまうのかすぐには実行できなくて
慣れるのはまだ先だろうけど善処しなきゃ
[…!もちろん!こちらこそ!]
よかった
待ってくれるみたいで
(優しいな…ことはさん…)
嬉しくてはにかんでいたら鼻を啜る音がする
(あれ?)
[ううう………よかったわぁ……ぐすっ]
音がする方を振り向けば椿ちゃんがいつの間にか泣いている
(な、泣いてる!?)
[え!?椿ちゃん]
[だ、大丈夫…??]
まさか涙を流すとは思わず咄嗟にハンカチを差し出すと
[ごめん感動しちゃって……ぐすっ…]
[椿ちゃんったら…]
[泣くことないわよ〜]
[〜……うう…良かったわぁ…二人ともぉ…]
(……ふふ…もう)
私とことはさんはそんな椿ちゃんを慰めながら顔を見て笑い合っていた