第29章 苦悩
[椿ちゃんSide]
[〜♪〜♪]
[ふふ〜ん♪]
とても気分がいいから鼻歌をつい出てしまう
足取りも軽やかでヒールの音が心地よく響く
(だって……)
(に会えるんだもの♪)
彼女とは連絡のやり取りはしてたものの会うのは数週間ぶり
最近ボウフウリンの仕事やバイトのこともあったしそれに梅からも色々とお願いされていたこともあって多忙だったのだ
(早く会いたいわ♪)
やっと時間の合間を縫って来れたというわけ
まぁ正直言うとこの前の件があって少し会いづらかったもとい頭を冷やす時間が欲しくて
(…………やってしまったわね本当)
あれはさすがにやり過ぎたわ反省はしているのこれでも
謝って一応決着はついただろうけど未だに心に燻っている
同時に体調も心配でたまらなかった
電話では大丈夫だと言っていたけど
(………)
彼女にはあくまで友達として接しているのにあれじゃあ
(意識…まではいかないけどあれじゃあ友達の距離としてはあまりにも)
近すぎる
いくらが鈍感な子だとはいえ勘付かれてもおかしくない距離だもの
けれどあの甘い香りふにふにとした頬 それに
(……落ち着け…!落ち着くのよ…椿……!)
邪念が入ったのか余計なものが頭に入ってくる
気にしてても埒が明かないわね
でもは大丈夫だと言っていたし信じるしかない
早く顔を見て話したいわ
と思っている矢先もう鶴の湯につきそうだ
見慣れた玄関前に着くとほうきをもったまま暗い顔つきをした女性がいる
(……………?もしかして……?)
[あら…?どうしたの?]