第29章 苦悩
[…………で断ったのね]
[うん……]
キィキィと乗っているブランコが揺れる
年季が入っているわけではないのだがどうにも物悲しく聞こえてしまう
あの後おじいちゃん達に断りを入れて公園に移動した
いつもだと行って来いなんてすぐ返事しないのに珍しいにも程があるんだろうけどきっとあの人なりに心配してくれていたんだろう家族にもわかるほどまた私は思い詰めていたみたいだ
申し訳ないけど好意に甘え今に至る
椿ちゃんには
彼に告白されて断ったことを話した
といっても一部始終のみだがそれを聞いて彼女は驚きはしたもののウンウンと頷きながら最後まで聞いてくれた本当に感謝しかない
相談するつもりなんてなかったけれど心配してくれたのに言わないのも違うだろうと思ったしなにより
胸が詰まって苦しくてしんどかったのだと話していてようやく気づきはじめていた
[[…………………]]
話したはいいけど沈黙が広がる
シーンと静かに音すらも鳴らないほど
[…………そ…]
椿ちゃんが何か言おうとした時
[自分でもわからないの]
[好きなんていいのかな]
[……私みたいな……]
[汚れた人………]
止まらない 抑えていたものが溢れ出したから
我慢していた思いがポツポツと出始める
人の話なんて聞かず無我夢中で吐き出していた
[いじめのこと知っている…ううん理解してくれたとしても]
[彼は………]
[また知らない嫌な過去があったら幻滅するもの]
[きっとそう]
[……………]
[そんなのもう嫌………]