第29章 苦悩
[………ふぅ…]
[あーし頼りない?]
普段の乙女のような顔と打って変わり覚悟が決まった顔だ
見慣れない表情に思わずドキッとしてしまう
[つ、椿ちゃ……]
[きゃ………]
(ど、どうしたの?)
一瞬何が起きたか分からなかったが強く抱きしめられている
先程との抱擁とは違く力強け私から離れないようにそしてフローラルな香りが胸いっぱいに広がっていた
(…………やってしまったな)
心配してくれたのはわかる
きっと私があやふやすぎて余計に不安になってしまってこういった行動に移ったんだろう
けれどこんなに強引な感じはこの前遊んだ時以来な気がする
驚きと共に色々と考えが巡っていると
[…………]
[あーしそんなに頼りない?]
違う
違うのだ
頼りなくないしもちろん信頼している
過去を聞いてそれでも友人でいてくれた椿ちゃんだから
彼女にそんな事を言わせたくなかったのに私ときたら
(………………何やってるのかな)
だからこそこれ以上心配をかけたくない
とりあえず申し訳ないけど言いたくないことは上手く誤魔化しつつ言ってみるしかないようだ
仕方ない 覚悟を決め話しかけてみる
[あの………椿ちゃ……]
[?]
[…?]
声を聞くと彼女も目をパチクリさせて呆然としている
返事が来ると思わなかったのだろう
けれどそんなことに構っている余裕はない
[実は………その……………]