第28章 番外編② 御礼
[梶蓮Side]
(…………………)
やってしまった
こいつのことだからこんな事を言ってしまえば謝るだろうに
前から思っていたことだが責任感が強いと言うか真面目だ
したことに対して申し訳無いと思ったことはわかったがそこまで謝る必要はねぇのに
それに頭を下げたまま上げようともしない
(俺は………)
不器用だ
昔からそうだし今だってそうだ
歯向かうやつには言葉なんて通じなくてただ力に任せて暴力を振るっていた
あの時柊さんに出会わなければ今頃どうなっていたことだろう
柊さんは口に出さないがそれでも理解してくれた
こんな危ない獣のような俺のことを
楠見や榎本それにクラスのみんな全員最初こそ色々あったが今では受け入れてくれている
ボウフウリンのおかげとも言うべきなのか分からないがこんな俺でも信頼できる人が作れるんだと夢にも思わなかった
(…………だったら)
不器用かもしれないがそれなりに行動するしかない
それにこいつには誤解されたくないその気持ちが強かったから自分の思うがまま言葉を話した
俺はこんな性格だから怖いって思われるだから謝る必要はないと
(……………伝わったか?)
少し不安だったからか心臓の鼓動が強く高鳴る
なんて言われるか分からなかったその恐怖がある
ヒヤヒヤしたまま答えを待つ
(…………無駄だったか…)
そう思い始めていた時あいつは頭を上げ俺に向き直っていたのだ