第28章 番外編② 御礼
[…………桃?]
私がそう言うと表情が一転
和やかな顔つきになったのかと思えばより眉間に皺がよる
[…………何でだ]
まさかの逆に質問が返される
これはまずかったのだろうかとヒヤヒヤさせつつ
[え…と……!よかったらその……嫌でなければですが]
[桃食べないかと思って…お聞きしたんですけど…]
(や、やってしまったのかな……)
冷や汗がたらりと出る
この顔つきはもしや桃が嫌いなものだったかもしれない
余計なことを言ってしまった
梶さんを喜ばせたいその気持ち一心だったのに申し訳無いことをしてしまったとシュンとして来てしまい徐々に視線が下に下り始めるも
[食べる]
[え…]
予想外の返答に思わず声が出てしまう
今なんてでも間違いなく食べるって言った聞き間違いなのかと
[……駄目なのか……?]
[い…いえ……!は、はい……!]
[今持ってきますので………!]
どうやら杞憂のようださっきまでの気持ちなんてどこかに吹き飛び私は急いで台所に向かう
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[どうぞ………]
[………………ん]
梶さんの眼の前に切った桃のガラスのお皿を置く
急いで切ってきたから大きさが少しまばらだけども気にしてないようだ
置いた途端真っ先にフォークを刺して口に運ぶしかも大きな口で一口に
(え?大丈夫かな……?)
詰まらないかハラハラして様子をみていると咀嚼音が終わりゴクンと飲み込む
すると
[……うまい]
頬を少し赤らめ先程より朗らかな顔でそう呟いたのだ