第28章 番外編② 御礼
[えーと………麦茶どうぞ]
[……………………あぁ]
麦茶を注いだコップを机に置く
家に連れてきたのはいいもののさっきからずっとこの調子だ
移動している時からずっと視線が合わない
仕方ないとは言えまたもやどこかで見た光景
私がコミュ障だからなのかもだが
幸い良かったと言えばおじいちゃんがいないことが良かったかもしれない
今日何か用事があるらしく帰るのもまだ先だ
最近とんでもない癇癪を起こしてしまうから梶さんと鉢合わせたらどうなるか目に見えている
そこに関しては少しホッとしていた
(おばあちゃん…後で行くからって言っていたけど)
(来るまで私一人だけか……少し気まずいな)
正直言うと何で話せばいいかわからない
あまり話すのも好きじゃなさそうださっきからヘッドフォンを外そうとしないし私と話するの嫌なのかもしれない
(いやいや…考えすぎ……!)
また私の悪い癖だすぐ自分のせいだと決めつける
お礼をしなきゃという思いはあったもののそれしか頭がなかったものだからどうしたらいいだろうと考えていると
(そういえば……)
何を食べさせなきゃこのままお茶だけというのも申し訳無い
お礼のお菓子は後で渡すとして何なら好きなんだろうか
飴いつも舐めているみたいだし私の勘違いでなければ
(……甘いもの好きなのかも?)
お菓子ではないけど昨日藤川さんにもらった桃がある
今冷蔵庫に冷えているしちょうどいいかもしれない
量はたくさんある嫌じゃなければ食べるんじゃないだろうか
私は恐る恐る
[あの……桃ってお好きですか…?]