第28章 番外編② 御礼
[ふぅ〜お前のおかげでやっと終わりそうだ]
[ありがとな梶]
[いえ]
今柊さんがやっている畑の列で最後だ思いのほか早く終われてよかった
自分のところを後片付けしてもいいかもしれない
そう思いホースを手に持とうとすると
(そういえば…………)
(……………あいつ…どうしてんだろ)
ふと頭によぎるあのレモン柄の浴衣をきたという女
橙色の光を持つ瞳 まるで太陽のように輝きで煌めいて綺麗というならああいう奴のことを言うのだろうか
(わからねぇ)
正直言うと女に対してそう思うのは初めてに等しいほどアイツに関して消化できない思いを持っていた
何故急にふと思い出したかわからないが
(そういえば)
お礼をすると言われていたないい加減行かねぇとまずいだろうかそれに俺を心配して探しにくるような感じがしてならない
(流石に考えすぎか)
(おちょこちょいとまではいかねぇだろうが)
ああは言われたものの別に行かなくてもいいんじゃないか
だが約束を放置すると思うとモヤモヤする
(考えがまとまらねぇ)
アイツのことになると思考がまとまらなくなる
どうしたらいいんだろうかいつもならスパッと決まるのに
[梶 どうかしたか?]
[…!…柊さん]
至近距離で顔を覗かれる
こんなに近くに来ても気づかないなんて柊さんに心配されるほど考えすかぎていたのか俺は
[ぼーっとしていたようだがやっぱり疲れてたか]
[いえ 少し考えてただけです]
これ以上心配を掛けたくねぇ
納得してくれればいいのだが柊さんは妙に勘が鋭い所があるから
[…?そうか?ならいいが]
[すみません…片付けますね]
とりあえずは大丈夫そうだと判断してくれたようだ
あまり迷惑はかけられない ただでさえ忙しい人だから
考えるのは控えるべきだろうまずは片付けなければ
そう思い俺は手を動かし始めた