第26章 緊張
[条くん……!]
彼が早くて来てくれたようだ
嬉しくてつい顔がほころんでしまう
[ごめん〜待たせたかなぁ〜]
[ううん…そんな…!今出たとこだし…!]
(って………あれ……?)
急いで出てきたのかストールに枯れ葉がついている
それなりについているからとってあげないと
[………ならよかったぁ…じゃあ…]
[待って条くん]
[んぅ………?…………ちゃ…]
この時の私は何も考えもせず彼にぐっと近寄っていた
取らなきゃいけない一心だったから
[じっとしてて……]
(………とこれでよし)
思ったよりも付いていたようだ取るのに時間は掛かったものの枯れ葉も全て取ったしこれで大丈夫と言おうとした所
[はい…これで大…………]
[[…………………………]]
(っ…どうしよ…………近………い……)
またもや私はやってしまっていたようだ何故か彼相手だと距離感がバグってしまうらしい
彼の顔が近い それに吐息も感じる 目が一瞬たりとも離せない
心臓もおかしく鳴り響いていて壊れるんじゃないかって思うほど今の私はおかしかった
これじゃあお祭りのときと同じだ
久々にこんな風に近づいてしまったからか離れなければと思うのにこのままでいたいと不謹慎にも思ってしまう
(……………って……はっ……)
[あ……ご、ごめんなさいっ…!]
やっと自分のしでかしたことに気づき即座に離れる
彼が嫌でなければいいのだが
[だ、大丈夫だよぉ〜…ちゃん]
[[……………………]]
そうは言うものの彼も顔も赤くなっている
それはそうだ気まずくて仕方ないだろうこんなの
空気を変えようとしてくれたのか
[と、とりあえずぅ〜……行こうかぁ〜……]
[あ…う…うんそうだよね…]
(………落ち着かないと)
平常心を保たないと思いつつ中々そうできずヤキモキしながら歩き始めるしかなかった