第25章 オリへ
[梶蓮Side]
(重めぇ)
(貰いすぎたな)
まさかお礼でやったものが倍になって返ってくるとは思わなかった
ばあさんが言うには日頃お礼になってるからと言うことだったが食うには多すぎる
これは楠見や榎本達に渡すしかない柊さんも食べるだろうか
優しいばあさんだそのつもりでやったようだが
(………………)
俺はとんでもない事をあいつにやろうとした
いややってしまった
距離が近かったとはいえの顔に触れ唇を合わせようとするなんて
何を考えているんだ一体俺は
あいつとは少し親しくなっただけで名前も少しだが呼べるようになっただけであってそういう関係でもねぇのに
けれどといると鼓動が早まる
触れたい
近づきたい
(餓鬼かおれは)
物事にも順序ってものがあるのにいやそもそも俺はあいつとどうなりたいんだ
わからねぇ 不透明すぎる
こんな気持ちを抱くのは初めてに近いからか何をどうしたらいいのか分からなさすぎる
ただあんなふうに幸せな時間をといたいっていうのは本心だ
(こんな無茶苦茶な事いっておかしいだろ俺)
そうこう考えていると
(………………っち…落ちたのか)
飴がポケットからころりと落ちたようだしかも後ろに
最悪だこんな大荷物に限って
(仕方ねぇ拾うか)
振り返り拾おうとすると
[獅子頭連……………?]
どういうことだ
オレンジのスカジャンに獅子のマーク見間違えるはずがない
いや気の所為だろうかだがここらへんは獅子頭連のなわばりではない
もしかしてあいつの所に行ったのか
どういうことだ気になり後を追いかけてみるも
(いねぇ)
考え事し過ぎて幻覚でも見えていたのか
そう思わざるをえないし根拠もないのだそれに荷物も多くていい加減片付けたい
[…………帰るか]
とにかく疲れたそれでいっぱいだったが
俺はこの時点で帰って正解だったかもしれない
戻っていたらとんでもねぇ怪物がいるのだから
踵を返し俺はまた歩み始めたのだ